ブラビスについて about BRAViS

ブランド戦略とデザインについて

ブランドとデザイン。これら二つの要素は、企業と生活者を繋ぐものとして欠かせません。ブラビスの歴史は、ブランドをデザインし、企業と生活者を繋いできた歴史でもあります。企業が伝えたい思いが生活者と共感され、企業と生活者が互いに幸せな関係になることがブラビスの喜びです。

ブラビス・インターナショナル代表フミ・ササダは、日本型ブランディングが始まる以前から、日米欧亜のブランディング活動に貢献し続けてきました。彼の40年に及ぶ経験から語られる「ブランドデザイン」とは何か。日本型ブランディングの現状と未来を踏まえながら、インタビュー方式で紹介します。

ブランド資産の創造影響を受けたランドー氏

「企業名ならともかく、ブランド名が記憶される時代。ブランドパワーが企業の競争力と運命を左右する」
韓国で行われたブラビス・ブランディングセミナー。日本人講師がソウルにてブランディングに関する講演を行うということで、150人以上の参加者を集め大きな話題を呼びました。
セミナー開催前、フミ・ササダに対して行われた新聞記者によるインタビューの内容を、新聞には出されなかった未公開記事を交えて特別にご紹介いたします。
韓国で行われたブラビス・ブランディングセミナーの様子
Q. ブランドが企業の最高資産だということを、各メディアで強調されていますが、その背景は何でしょうか?
私が影響を受けた人物の一人である、「ランドー・アソシエイツ」創業主ウォルター・ランドーは、「製品は工場で造られるがブランドは頭の中、すなわち心の中で作られる」と言っています。人々の頭中にはすでに数多くのブランドが存在しています。その中で新しいブランドを認識させる作業はたやすいものではありません。また、すでに認識されているブランドを維持していくことも難しい環境にあります。ブランドが企業の存在を左右しているといえます。
Q. ブランドが企業の存在を左右する今日、ブランドを作り上げるために重要なことは何でしょうか?
新規ブランドを立ち上げる場合、資産価値(エクイティ)のあるデザインを製作することが重要だと考えています。既存ブランドから資産価値を把握し、残さなければならないことと、捨てなければならないことを明確に分ける作業が重要です。企業の価値を残したり捨てたりすることからブランドは再創造されるともいえるでしょう。日本人は新しい事とシンプルな事を好む傾向があり、これはブランド戦略にも影響を及ぼす場合が多くあります。売上げが下落すれば既存ブランドの資産価値を分析せずに、全ての要素を変更してしまうことが多々あることも事実です。数年間積み上げてきたブランドの資産価値を、売上げのために捨てる事は非常に残念なことです。

ブランド資産のキーワード「ブランドカラー」

Q. 資産価値があるブランドはどのようにして開発されるのでしょうか?
私の経験上、ブランドの資産を形成する要素の優先順位は以下のようになります。
・ブランドカラー
・ブランドロゴ(マーク、アイコン等)
・ブランドロゴタイプ
・グラフィックフォーマット
・形状、素材等
まずは、カラーがカギとなります。製品ブランドにおいてはブランドロゴ及びパッケージデザインの色相が、企業ブランドにおいては企業ロゴのカラーが重要な資産を形成します。なぜならば、カラーは消費者が最も記憶しやすく、印象に残りやすい要素だからです。
ただし、消費者は赤、黄、青、黒など限定的にカラーを記憶しブランドを選ぶ場合が多いので、同じ色を使って彩度や明度に差を作っても、消費者達はそんな精細な差まで認知して憶える事はありません。企業が望むカラーを決断して素早くブランドカラーとして使うことが望ましいでしょう。
プロダクトブランドにおいては、パッケージの形状・素材・グラフィックフォーマットが、パッケージ革命と呼ばれるほど人目を引いていて、ブランド資産を形成する要素としても重要度が高まっています。
顧客との接点(タッチポイント)を見極めることも、ブランド資産を形成していく上ではかかせません。サービス業では広告プロモーション、製造業では製品自体とパッケージ等を重点に、ブランド資産を形成するのに有効なタッチポイントを探していくことが重要です。特に既存製品のリニューアル時は、効果を発揮します。
ブラビスの実績

フミ・ササダが捉えるブランディングの現状

Q. 企業のブランド構築を、デザインで支援するために重要なことはなんでしょうか。
ブランドという言葉の定義が広がりをみせ、かつてブームであったCIも、ブランドという言葉に包括されるようになっています。CIは企業のトップマターとして扱われてきた背景があり、うまく機能しないケースが多々見受けられてきました。
企業トップの位置からは、どうしても顧客との接点が見えにくくなってしまうことが、原因の一つとして考えられます。企業ブランドと生活者の接点は商品, パンフレット、web、パッケージデザイン等になりますので、企業ブランドを構築する際は、これまで末端と考えられていたこれらの接点もしっかりと考えていくことが必要です。パッケージデザインにCIが似つかわしくなかったり、多種類の商品にCIの展開が難しかったりという問題が次々に起きてきました。
企業理念や行動指針といった企業のコアな部分を明確に伝えるビジュアルの開発を行っても、肝心なブランドの戦略的発想が欠けている場合もありました。店頭・窓口でのスタッフの対応が良ければ、顧客はその店のブランドに対して好感を抱きますし、買った商品が素晴らしければメーカーのブランドに好感を持ちます。つまり、企業理念やビジョン等、これまでの上位概念からのアプローチと同時に、顧客との接点からのアプローチが欠かせません。常にこの両方に目配りしながらブランド開発することが大事だと考えています
ブランド開発の様子

ブラビスのクリエイティビティの秘密

Q. ブラビスのクリエイティビティを支えているものはなんでしょうか。
基本的な取り組みとして、ブランディング・ループ全体を見据えて、どのフェーズにおいても戦略チームとデザイナーが、迅速に対応できる点を強調したいと考えています。ブランディング・ループとは、先述「フミ・ササダが捉えるブランディングの現状」で述べたように、企業理念やビジョン等、これまでの上位概念からのアプローチと同時に、顧客との接点からのアプローチがブランディングには欠かせないというブラビスの考え方を表したものです。
ブラビスにはコンサルタントの他、国内外約70人のデザイナーが6つのディビジョンを構成しています。案件が来るとまずデザインの方向性に沿って、全員がデザインする体制を意図的にとっています。最終的なデザインはその結果出てきた中から選びますし、デザイナーは常に競争の中で技量を磨くことになります。スタッフには、米・英・韓国・タイ・中国の方もいて国際色豊かな環境の中、デザイナー同士が刺激し合っています。
ソウル支社を設立したことにより本格化した韓国での活動をはじめ、上海支社、バンコク支社の設立と世界各国からブランディング、デザイン開発のご依頼をいただきます。日本とは違う国の商品をデザインするということは、異文化を感じるだけでなく、様々なチャレンジを含んでいます。デザイナー達は新しい刺激を受けながら、プロジェクトに挑んでいます。
新しい刺激を受けながら、プロジェクトに挑んでいます